痛みの治療とVR(仮想現実)について
こんにちは、弘邦医院の林です。
今日の診療は平常通り、午前・午後です。
さて、本日のテーマは「痛みの治療とVR(仮想現実)」についてです。
みなさん、そろそろクリスマスプレゼントは決まりましたか?
私達の子供の頃はバットやグローブといった類でしたが、
最近はタブレットやドローンなどを欲しがるお子さんが多いそうです。
今年、注目なのはスマホにセットして使えるVRゴーグルや
本格的なヘッドセットが人気だそうです。
「ああ、ゲームに使うのだろう」と思う人もいらっしゃるでしょうが、
いまはさまざまな分野で使われようとしているそうです。
例えば、ハーバード大学では19世紀の街並みを再現したVRを製作、
当時の世界にタイムスリップさせて科学を学ばせる「VR社会見学」を
子供たちに体験させ、学習意欲を向上させることに成功しました。
このVRは医学の分野でも応用されようとしています。
例えば、VRで本番前に手術の練習をする、歯の治療を嫌がる子どもを診察台で
大人しくさせるため、VRで気をそらせ、その間に治療する、
などが日本でもすでに行われています。
VRが応用できる医学分野はさまざまですが、とくに期待されているのが痛みの治療です。
鎮痛剤や医療用麻薬など痛みを取る薬はたくさんありますが、長期間使用すると
だんだん効かなくなる、依存性が出るなど、副作用が出るなどさまざまな問題が起こります。
それを避けるために、鍼灸やマッサージ、瞑想などの手段がありますが、
なかなか痛みを取るのは大変です。
そこで注目されているのが気をそらせる治療です。痛みが出たときに上の空にして、
痛みへの集中を妨げるというものです。これまではテレビゲームでの効果が報告されていましたが、それを上回る結果をVRが出しています。片足に重度のやけどを負い、医療用ホッチキスが
必要な16歳の少年は、テレビゲームで気をそらしたときは治療時間の96%を痛みについて考えたと答えました。ところが、没入感が凄いVRでは2%しか痛みについて考えなかったそうです。
体中に痛みを感じるお年寄りはたくさんいます。
試しにクリスマスプレゼントにVRを送ると喜ばれるかもしれません。